学芸員とは
学芸員は「博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う」と定められています。
博物館(美術館・天文台・科学館・動物園・水族館・植物園なども含む)における専門的職員および、その職に就くための国家資格のことである。欧米の博物館・図書館・公文書館では職種としてキュレーター(curator)が置かれているが、日本ではキュレーターを学芸員と訳している。
学芸員はあらゆる分野で活躍しています。研究だけでなく、展示などを通じて、教育従事者として一般の人々に学ぶ機会を提供することもあります。
画廊等で絵画の販売を行う人や展示会のために作品を運搬する業者さんなんかも専門的知識を持って学芸員資格を保有して勤務されたりもしています。
学芸員資格の取得方法
では、「学芸員」の資格ってどうやって取得するのでしょうか?
取得方法はいくつかありますが…一般的なのは大学で単位を取得し、実習へ行くパターンです。(ちなみに私もこの方法で取得しました)。
実は他にも方法がありますので紹介します。
が、他の方法でも大学を卒業して学士の学位を持っておかなければ受験資格がありませんので、この点は注意です。
参考サイト:文化庁 学芸員について
どんな方法か詳しくご紹介しますが…ほぼ①しか無理です!!!
①大学で博物館に関する科目の単位をとる
1つ目は大学に進学して定められた博物館に関する単位を履修し、大学を卒業することです。
この方法が最も多いです。
大学であれば、科目を履修していれば卒業と同時に学芸員資格を取得できます。
必要科目は2009年4月に施行規則が一部改正され、2012年4月より科目及び単位に変更が生じています。現在はこんな感じ
科目 | 単位 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
生涯学習概論 | 1単位 | 2単位 |
博物館概論 | 2単位 | 2単位 |
博物館経営論 | 1単位 | 2単位 |
博物館資料論 | 2単位 | 2単位 |
博物館情報論 | 1単位 | |
視聴覚・教育メディア論 | 1単位 | |
博物館情報・メディア論 | 2単位 | |
博物館資料保存論 | 2単位 | |
博物館展示論 | 2単位 | |
博物館教育論 | 2単位 | |
博物館実習(校外) | 3単位 | 3単位 |
教育学概論 | 1単位 | |
合計必要単位 | 12単位 | 19単位 |
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E8%8A%B8%E5%93%A1
ただし、大学によっては、学芸員資格修得に必要な科目が開講されていない場合もあるので、ここは要注意です。学芸員の資格を取得できる大学は、短大を含めて301校と定められています。(令和2年4月1日現在)
チェックはこちらの文化庁のサイトより↓
文化庁 学芸員養成課程開講大学一覧
繰り返しですが、
学芸員資格保有者のほとんどがこのパターンで、
他の方法ではかなり難易度が高いです。
私も大学在学中に取得しました。
大学では、学芸員資格取得のためのカリキュラムが組まれており、入学後学芸員資格の説明のオリエンテーションに行くとどの授業が必要か、どういう流れで取得できるのか等教えてもらえたりします。
もし通信制の大学なら?というパターンですが…
放送大学等の通信講座を受講していたとしても、実習は別です。
よって、どこか他の科目履修できる大学等から単位を取得することが必要になります。
放送大学のHPはこちら↓
記載がありますが、放送大学でも無理ってことですね。。。
②大学あるいは短大で博物館に関する科目の単位を修得し、学芸員補として3年以上の実務経験を積む
この方法で資格を取得するためには、大学に2年以上在籍し、かつ博物館に関する科目を含めて、合計62単位以上を修得して卒業した後、学芸員補として3年以上の経験を積むことが必要とされます。
この「学芸員補」にも資格があり、
高等学校及び中等教育学校を卒業した者や高等学校卒業程度認定試験及び大学入学資格検定に合格した者などは学芸員補となる資格を有している。
とされています。
③学芸員資格 認定試験・認定審査に合格する
試験認定の場合
受験資格:
- 学士の学位を有する者
- 大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者でかつ2年以上学芸員補の職にあった者
- 教育職員の普通免許状を有し、2年以上教育職員の職にあった者
- 4年以上学芸員補の職にあった者
- その他文部科学大臣が上記の資格保持者と同等以上の資格を有すると認めた
試験は筆記試験で行われ、必須8科目と選択2科目の試験です。
毎年7~8月に願書提出、12~1月に試験、2月に受験結果発表 の予定です(コロナの影響でどうなるかはわからないので詳細は文部科学省が発表する受験案内を確認しましょう。)
試験合格後、学芸員補佐として実務経験を1年間積むことで資格が取得したとみなされます。実務経験の無い者は、試験に合格しても学芸員補の職に1年以上従事しなければ学芸員となることは出来ず、その場合、効力条件付きの合格証書が交付されることになります。
大学等において指定の単位を修めている者は当該科目の受験が免除されるということです。
審査認定の場合
受験資格:
- 修士もしくは博士の学位や専門職学位を持ちながら、2年以上の学芸員補佐の経験がある人
- 大学などで、博物館に関する科目で2年以上の教授や准教授を経験し、かつ2年以上の補佐役としての経験がある人
- 次のいずれかに該当する者で、都道府県の教育委員会から推薦を受けている人
- 学士の学位を有する者で、4年以上学芸員補の職にあった者
- 大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者で、6年以上学芸員補の職にあった者
- 学校教育法の規定により大学に入学することのできる者で、8年以上学芸員補の職にあった者
- その他11年以上学芸員補の職にあった者
- その他文部科学大臣が上記の資格保持者と同等以上の資格を有すると認めた者
試験内容は面接と書類審査です。認定試験とは異なり筆記はありませんが、受験資格自体が難易度が高いため該当する人はかなり限られます。こちらは学芸員補の経験なしで資格を取得することが可能です。
まとめ
いかがでしょうか?ざっとまとめてみましたが…
私としては、いかに「大学で取得する」以外の難易度が高いかがネックとなる資格だと感じました。
この資格取得を目指しておられる方は、まだ間に合うなら大学での取得をぜひ目指してもらいたいと思います。